ひたすのなかの島々

30代の独身男性が投資信託積立と貯金箱とαを綴る。最近は英語勉強記録になりつつあります。

尊敬していた先輩が出世コースを自主離脱していた件

こんにちわ、ひたすです。

転職活動も完了し、今年の春から新しい職場に移ることになり、家探しやら諸々の手続きなどもあるため、たまに東京方面に行くことが何度かでてきました。

その際に前々職の仲の良かった同期とあったんですが、標記の件を聞いた次第。。。

さて、私の前々職の件は下記に詳しく書いています。

私の前々職は団体職員で、いわゆる独立行政法人や財団法人とか言われる組織でした。

hitasu.hatenablog.com

 

前々職の上司たちは、その太宗が「無気力」「無関心」「自己保身」の3拍子揃ったそらもう、たいそうハイパー優秀な方々が多く、私は冷ややかな目で見ることが多かったです。

 

ただ、そんな中でもその会社を回すキーとなる優秀な人材は少数ながらも存在していて、その一人がタイトルにある私が尊敬した先輩でした。

 

先輩は私より10歳弱年上の同じ大学の出身でした。

私が前々職を新卒で受ける際にはOBOG訪問に付き合ってくれたり、エントリーシートの添削をしてくれたり、業界全般の話を食事を交えながら色々と教えてくださったり、かつ内々定が出たあとは「会社に早く馴染めるように」と職員の方といろいろと合わせてくださったり、恩義を感じている人でした。

 

仕事上では関わることがほとんどなかったのですが、先輩の代の中では出世は最速で非常に優秀かつ語学堪能で、社会人になってから経理系の難関資格を取得するなど自己研鑽も怠らない人でした。

性格的にもエリート風を吹かすこともなく、部下の意見も真摯に聞いて、控えめではありますが、上司にもちゃんと意見を言える方で、私はすごく尊敬していました。

 

そんな先輩が近年、自主的に出世コースから離脱したと同期から聞いたのは先月のことでした。

 

私が所属していた会社は私が退職した翌年に人事制度改革があり、

管理職になるハードルが上がり、かつ管理職も2種類のコースに分けられることになったようです。

 

・マネジメント職

→将来的な部長・役員の可能性のある職種。中央官庁との折衝を行う部署の管理職になり、激務の可能性は高い。いわゆる出世ルート。

 

・プロフェッショナル職

→将来的な部長・役員の可能性はなし。自身の得意とする業務をメインに行い、部下はおらず、業務量もマネジメント職と比較して少ない。いわゆる非出世ルート。

 

上記のコースは管理職になったタイミングで一旦選ぶことができ、管理職登用の数年後に最終的なコースの確定を迫られるというものらしいです。

 

先輩は私が辞めた翌年に世代最速で管理職になり、当初はマネジメント職でバリバリ活躍されていたようですが、昨年の最終のコース選択時にプロフェッショナル職に鞍替えしたようです。

 

同期いわく、先輩はこういっていたそうです。

 

もう疲れた。

 

給与も業務もわりにあわない。

 

のんびり暮らしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

私はショックでした。

先輩の決定をとやかく言う権利は私にはありません。

でも、尊敬する先輩がその選択をするまで追い詰められてしまった事実、

それがすごく悲しく、ショックでした。

 

 

 

先輩のその選択を改めて考えると、私は前兆は、実は前からあったのではないかなと思っています。

あれは、私が2019年に団体職員を辞めることを決意し、先輩にご報告したときのこと。

 

 

 

 

 

 

 

【回想:今から5年前、2019年秋、ひたす29歳@会議室】

 

 

ひたす:先輩、新卒時の採用から色々とお世話になっている手前、大変申し訳無いのですが、退職することにしました。私は自分がどれだけ成果を出しても評価されず、かつ長時間残業が多々発生し、無気力無関心で若手のキャリアを考えない上司や経営陣の体制には不安しかないのです。この会社にいても自分は20年後、自分が嫌っている上司たちと同じようになり、市場価値がなく、無気力な人生を歩むのが怖いんです。だから、退職することにしました。

 

先輩:そうか。。残念だけど、会社の件は否定もできない事実だし、ひとまず、おめでとうと言いたい。転職は勇気のいることだし、大きな決断だと思う。僕も30歳くらいで海外駐在から帰国してから転職を考えたことはあるし、実際に面接も受けた。でもしなかった。それで今、35歳前後になって、転職を考えることもあるけど、怖いんだ。新卒で23歳からこの会社で働き始めて15年弱、自分はこの団体職員のやり方しか知らないし、新しい環境で馴染めるかどうかわからない、次がだめでもその次にという勇気もない。だから、その恐怖に打ち勝てないから、「転職」という選択は多分もう取れないと思う。正直言って、ひたすくんができる決断は羨ましいかな。

 

ひたす:先輩は自分より遥かに語学堪能(※当時の私はTOEIC500点台でした)だし、経理系の難関資格だって持ってるのだから、市場価値は自分よりもすごくあると思いますが。

 

先輩:そうかもしれないけど、そうじゃないんだ。新しい環境が怖いんだよ。新しい環境に適応できる柔軟性も、もうないかもしれない。僕もこのまま団体職員で働いてすり減らされるかもしれない怖さはあるよ。でもそれ以上に新天地に行く怖さのほうが遥かに強いんだよ・・・多分、これはひたすくんが嫌っている無気力なのかもしれないけど(苦笑

 

ひたす:そういうもんですか。。でも、色々と本当にお世話になりました。。先輩には感謝してもしきれないです。先輩は出世も早いし、今後の活躍も期待してます。

 

先輩:一つだけ言うと、ひたすくんはうちの会社が大嫌いだと思うけど、この会社はひたすくんが思っている以上に常識的ではある。その中で学んだ基礎となる知識はどこに行っても通用するからそれは自信を持ってほしい。あと、僕はわからないな。。何をやりたいのかも最近わからない。何が正しいキャリアなのか、若い方が辞めるとよく思うよ、ほんと。

 

【回想終了】

 

 

 

 

 

今にしても思えば、2019年頃の時点で先輩は五里霧中に陥り始めていたのかもしれないと思います。

先輩がどういう心情で出世コースを自主離脱したのかはわかりません。ただ、2019年頃から自身のキャリアに悩み、他の多くの管理職の方と同様に無気力無関心になり、意識的に自身のメンタルの維持に努め始めたのかもしれないです。

そして、ただ、本当に、「疲れた」のだと思います。

 

 

私は29歳で転職したあと、紆余曲折していますが、なんだかんだのらりくらり上手く波に乗れています。

良くも悪くも飽きっぽいのと、リスク察知力が少なからず敏感なのか、精神的に参らずに働けていて、団体職員を辞めてからは好きなことで仕事ができています。

 

 

※最近のひたすのキャリア

・25歳:団体職員になる(新卒入社)

・29歳:団体職員退職(前々職)

hitasu.hatenablog.com

・30歳:国際色豊かな企業入社、半年で退職(前職)

hitasu.hatenablog.com

・31歳:地方にある大手企業(現職)

・35歳:東京にある企業の海外担当(今年の春から)

 

 

 

来年で社会人歴10年目に突入しますが、経験企業数は次の会社で4社目になります。

ここ3年位はスカウトを受けることもあり、自分自身の市場価値を認識することも増えてきましたが、先輩が言っていた「怖い」という感情が年齢とともに高まる気がしているのも感じています。

 

5年前はいまいち先輩の言うことがよく分からなかったですが、今はなんとなくわかります。

 

 

でも、転職を複数回すると思います。

 

その得体のしれない怖さの裏側には、

同じ確率で「安心」があるのです。

 

しかも、その「怖さ」というリスクは、複数回のカジュアル面談などを通して、徹底的に減らしていくことが可能です。

 

もし私も同じように前々職で働いていれば、先輩と同じ決断をしたかもしれないし、そもそも先輩と同じ管理職という土俵にさえ立てなかったかもしれません。

 

私も春から新しい職場に転職するという選択肢が正しいかはわかりません。

 

ただ、私が信じているのは、

「選択肢を決めるためにもがき、あがき、動くこと」

だけです。

 

どうせ答えがないのであれば、自身の市場価値を見極めるために、色んな人と会って、話をして、それを元に悔いのない選択をすることが一番大切だと思います。